マサイ族と写真
東アフリカに来る観光客は「マサイ族にカメラを向けると槍が飛んでくるぞ!」と脅かされます。実際に槍を投げたマサイは見たことがありませんが、カメラを向けられて怒っているのは何度も見ました。その一方観光客が多い所では、子供達を民族衣装で着飾って、お金を取って写真を撮らせているマサイの人達もいます。
ではマサイ族にとって写真とは何なのでしょうか?「写真を撮られると魂が抜かれると思っている」という俗説も聞きます。でも仕事でマサイ族の人達と付合うようになって思うのは、もっとあたり前の感覚の持ち主なのではないだろうか、ということです。
僕らが仕事で行く村のマサイの人達は写真が大好きです。僕らが時々案内する日本のお客さんは例外なく写真を撮りますが、マサイ族の人達が要求するのは「写真を送ってくれ」と、ごく当たり前のことだけです。むしろ写真を送ってくれない失礼な日本人が多く、去年案内した日本の高校の先生のグループでは、10人の内、送ってくれたのはたった一人でした。
こうして考えてみると、無遠慮にマサイ族にカメラを向ける観光客の態度がいかに失礼かもわかると思います。珍しい動物にカメラを向けるのと同じ感覚でマサイを撮り、そしてもちろんそれきりです。プライドの高いマサイ族が怒って当たり前ではないでしょうか?常識に反しているのはマサイ族ではなく、カメラを持っている方だと思います。

僕がよく行くマサイ族の村には寺子屋のような学校があり、ある日そこでみんなで記念写真を撮りました。村長さんと先生が「さあみんな写真を撮るから整列して!」と言って子供たちを並ばせました。そして二人は子供たちが並んだのを確認すると、いきなり子供たちの前に立ち、そのまま写真に収まってしまいました。あっけ。

